01-005 道者令民與上同意也故可與之死可與之生民弗詭也

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独見
独見

道者,令民與上同意者也,故可與之死,可與之生,民弗詭也
道とは、民をして上と意を同じく令(し)むることなり。故に之れと死す可く、之れと生く可くして、民は詭(うたが)わざるなり。
道とは、民に上と同じ意志を持たせるものである。それで彼らも共に死ね、共に生きられる。(上が民意に沿った統治を行えば)民衆は従順になり(上は民からの)反逆を恐れる必要がなくなる

竹簡
竹簡

道者,令民與上同意者也,故可與之死,可與之生,民弗詭也

道とは、民をして上と意を同じく令むることなり。故に之れと死す可く、之れと生く可くして、民は詭わざるなり。

古文孫子
古文孫子

道者,令民與上同意也,故可與之死,可與之生,而不畏危
道とは、民をして上と意を同じく令むるなり。故に之れと死す可く、之れと生く可くして、而して危険を畏れず。

魏武注孫子
魏武注孫子
道者,令民與上同意,可與之死,可與之生,而不畏危也
道とは、民をして上と意を同じく令むることなり。故に之れと死す可く、之れと生く可くして、民は詭わざるなり。
道とは、民に上と同じ意志を持たせるものである。それで彼らも共に死ね、共に生きられる。(上が民意に沿った統治を行えば)民衆は従順になり(上は民からの)反逆を恐れる必要がなくなる
孫子略解 - 维基文库,自由的图书馆
宋本十一家注
宋本十一家注
道者,令民與上同意也,故可以與之死,可以與之生,而不畏危
道とは、民をして上と意を同じく令むるなり。故に之れと死す可く、之れと生く可くして、而して危わざらしむるなり。
道とは、民に上と同じ意志を持たせるものである。それで彼らも共に死に、共に生きられる。だから(統治者が民意を体して施策を行えば)危険を恐れなくなる。
十一家注孫子 - 中國哲學書電子化計劃
竹簡道者,令民與上同意也,故可□與之死,可□與之生,民弗詭也
古文道者,令民與上同意□也,故可□與之死,可□與之生,而不畏
魏武道者,令民與上同意□□,□可□與之死,可□與之生,而不畏危也
宋本道者,令民與上同意□也,故可與之死,可與之生,而不畏
比較しやすくするために□を入れてあります
宋本のみ2個の「以」があります
最終節は「民弗詭也」「而不畏危(也)」に分かれています
與・・・「ともに」か「あたえる」の意味になりそうですが、ここは民「と」上が意を同じくすると取りました。
與 - 中國哲學書電子化計劃
不明瞭

道とは、君臣の義を正し、民と上とが同意することであります。故に、民に死ねと言えば死に、生けと言えば生きる。民は詭弁を用いず、上に従順なのであります。

上と民との間に同意が成り立たねば、道は乱れ兵は敗れます。上が民に同意を求めず、民が上に反発すれば内乱を生じ、国力は衰微するでしょう。

しかし、上が民の意に叶い、民が上の命に従えば、同意の道は守られ、国は治まり兵は強くなります。上と民が心を一つにし、同じ目的の下に団結すれば、どのような強敵があろうとも打ち破ることができます。

故に善く戦う者は、まず内に道を正し、上と民との同意を得ることが先決であります。内乱なく国力を保ち、民心を収攬して初めて、外敵に対処できるのであります。

道は国家の根本であり、同意は兵力の源泉なのです。これを怠れば、たとえ強兵を有する国でも、やがては滅亡の運命を辿るでしょう。

註釈

魏武注孫子
魏武注孫子

魏武注なし

宋本十一家注には註釈がありますが現存する最古の註釈とされる魏武帝註孫子には註釈がありません。なぜこうなっているのか謎です。
国立国会図書館デジタルコレクション

さらに孫子略解、王皙による曹操孫子注では「民弗詭也。曹操曰:危者,危疑也。」となっています。謎は深まります。
孫子注 : 計篇 - 中國哲學書電子化計劃
宋本十一家注
宋本十一家注

道者,令民與上同意也,

  • 張預曰:以恩信道義撫衆,則三軍一心,樂爲其用。《易》曰:「悅以犯難,民忘其死。」
    註釈書き下し文
    註釈訳文

故可以與之死,可以與之生,而不畏危。

  • 曹操曰:危者,危疑也。
    曹操が説く:危とは、疑問に思うことである
  • 李筌曰:危,亡也。以道理衆,人自化之,得其同用,何亡之有?
  • 杜牧曰:道者,仁義也。李斯問兵於荀卿,答曰:「彼仁義者,所以修政者也。政修,則民親其上,樂其君,輕爲之死。」復對趙孝成王論兵曰:「百將一心,三軍同力,臣之於君也,下之於上也,若子之事父,弟之事兄,若手臂之捍頭目而覆胸臆也。」如此,始可令與上下同意,死生同致,不畏懼於危疑也。
  • 陳皥《註》同杜牧。
  • 孟氏曰:一作「人不疑」,謂始終無二志也。一作「人不危」。道,謂道之以政令,齊之以禮教,故能化服士民,與上下同心也。故用兵之妙,以權術爲道。大道廢,而有法;法廢,而有權;權廢,而有勢;勢廢,而有術;術廢,而有數。大道淪替,人情訛僞,非以權數而取之,則不得其欲也。故其權術之道,使民上下同進趨,共愛憎,一利害,故人心歸於德,得人之力,無私之至也。故百萬之衆,其心如一,可與俱同死力動而不至危亡也。臣之於君,下之於上,若子之事父,弟之事兄,若手臂之捍頭目而覆胸臆也。如此,始可與上同意,死生同致,不畏懼於危疑。
  • 賈林曰:將能以道爲心,與人同利共患,則士卒服,自然心與上者同也。使士卒懷我如父母,視敵如仇讎者,非道不能也。黃石公云:「得道者昌,失道者亡。」
  • 杜佑曰:謂導之以政令,齊之以禮教也。危者,疑也。上有仁施,下能致命也。故與處存亡之難,不畏傾危之敗。若晉陽之圍,沈竈産蛙,人無叛疑心矣。
  • 梅堯臣曰:危,戾也。主有道,則政教行;人心同,則危戾去。故主安與安,主危與危。
  • 王晳曰:道,謂主有道,能得民心也。夫得民之心者,所以得死力也。得死力者,所以濟患難也。《易》曰:「悅以犯難,民忘其死。」如是,則安畏危難之事乎?
  • 張預曰:危,疑也。士卒感恩,死生存亡與上同之,決然無所疑懼。
    註釈書き下し文
    註釈訳文

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